価値創造プロセス
Value
当社が挑む社会課題
日本の中小企業の現状
日本では、少子高齢化と労働力人口の減少が進んでおり、現在の私たちの暮らしの豊かさや経済競争力を維持するには、労働生産性の向上が重要になると考えられています。なかでも、日本の全企業数の99.7%を占め、全労働人口の65.6%が働く中小企業※1の労働生産性向上は非常に重要ですが、長く低迷を続けています※2。
日本の労働人口に占める中小企業の労働者数の割合

日本の大企業と中小企業の労働生産性の推移※3

IT投資を積極的に行っている中小企業は、そうでない中小企業と比較して売上高・経常利益率ともに高いという調査結果があるように※4、労働生産性の向上にはITの活用(DX:デジタルトランスフォーメーション)が有効と考えられていますが、中小企業ではIT人材や予算不足などの理由で、92%以上の中小企業※5がITの活用に取り組めていない状況があります。
企業の財務パフォーマンスに対するIT投資(DX)の有効性

日本の中小企業のIT活用・DXへの取り組み状況

この背景には、日本経済を支える中小企業の経営者の高齢化(平均年齢62.33歳、70歳以上の割合30.9%、2023年1月時点)※6と後継者不足の問題(70代の経営者の約4割で後継者が不在、2019年)が関係し※7、デジタル投資への意思決定が遅れる原因となっています。さらに、中小企業ではIT人材の採用が大企業と比較して困難であることも、デジタル化に着手できない原因になっていると考えられます。
このような中、近年のコロナ禍や原材料高、人手不足といった外部環境変化も、中小企業の体力を奪い、IT投資への余力をさらに減少させており、中小企業のIT活用・DX推進は単なる個別企業の業務効率化の問題ではなく、日本経済全体の中長期的な競争力と持続可能性および中小企業で働く多くの人々の生活に影響を与える課題であり、国をあげた課題解決への取り組みが必要となっています。
- ※1 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス」
- ※2 中小企業庁「2023年度版中小企業白書」
- ※3 労働生産性=付加価値額/従業員数
- ※4 中小企業庁「中小企業・小規模事業者の現状と課題」
- ※5 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(2023年)アンケート調査報告書」令和5年10月
- ※6 日本政策金融公庫論集 第62号「経営者の高齢化の進行と事業継承問題」(2024年2月)
- ※7 中小企業庁「2020年度版中小企業白書」
ブラックオーシャンに挑む
企業のIT化・DXにむけて様々な企業がサービスを提供していますが、数万社という単位で中小企業のIT化や生産性向上に総合的に取り組んでいる例は極めて少ないのが現状です。それは、中小企業の多くがITの投資余力が少なく、ITの専門人材も不在で、役員・従業員の多くがITスキルを保有せず、ITの使用自体に不慣れなため、ITの導入・活用のすべての段階で中小企業ならではの様々な課題対応が発生し、事業としての効率が非常に悪く新規参入も難しい市場だからです。
そのため、中小企業のIT化・DX市場は、顧客となる中小企業が330万社超と多いのに対して、本格参入する企業が少ない特殊な市場=「ブラックオーシャン」となっています。よって、この市場ならではの効率の悪さをテクノロジーやイノベーションで乗り越え、多くの中小企業にIT化・DXの恩恵を提供できれば、大きなビジネスチャンスが広がっているとも言えます。
IT化・DXを通じて中小企業の生産性向上に貢献する当社ならではの強み
当社は、「働くをもっと楽しく、創造的に」というミッションを掲げ、ビジネスチャットを核としたクラウドサービスの提供で中小企業の働き方に変革をもたらし、将来的には全ての人にとって「働くこと」をより楽しく、創造的なものにしたいという強い想いを持って事業に取り組んでおり、これが当社のコアな「バリュードライバー」となっています。
そして、このミッションの実現にむけて、プロダクト開発などの各機能がシナジーを生みやすく意思決定スピードの速い「フラットで効率的な組織」を整備するとともに、当社の「ミッションに共感する人材」が集い、共通の「バリュー」のもとで、誠実に「遊び心とオーナーシップを持ち、時には自身の業務領域やケイパビリティを超えたチャレンジができる組織づくり」を進めています。
こうして開発・提供した当社の「社内外コミュニケーションの核となるビジネスチャット」は、中小企業のすべての職種の従業員が高頻度で日常利用されており、ITに不慣れな日本の中小企業のユーザーが使いこなせるように機能を絞り徹底的にユーザビリティを高めた上で、中小企業でも利用しやすい価格で提供しているため、非常に高い顧客満足をいただいています(サービス解約率0.25%、2024年12月末時点)。
この結果、既存ユーザーからの紹介で新規ユーザーが複利で増加する強い成長性をプロダクト自体が有しており、国内利用者数No.1※7・導入社数91.4万社を誇るビジネスチャットサービスに成長し(2025年3月末時点)、当社グループの価値創造と競争優位性の大きな源泉となっています。
当社はこのビジネスチャットを「中小企業のDX推進に特化したビジネスプラットフォーム」として中小企業の課題解決に貢献するサービスを顧客に提供しています。圧倒的なユーザー数とユーザー接点を持つChatworkを介してわかりやすくシームレスに提供することで、ITの専門家がいない中小企業でも現場の課題解決に役立つサービスをお勧めし、実際に導入して成果を生める環境づくりを進めています。
そして、現在ではこのビジネスプラットフォームを介して、人手不足やIT導入に課題を感じる多くの中小企業が、手軽にIT化・DXの恩恵を受けられる革新的なサービス「BPaaS(Business Process as a Service:ビーパース)」の提供に挑戦しています。
- ※7 Nielsen NetView 及びNielsen Mobile NetView Customized Report 2024年4月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査。 調査対象はChatwork、Microsoft Teams、Slack、LINE WORKS、Skypeを含む41サービスを株式会社kubellにて選定。2025年3月末時点
価値創造にむけた当社経営資本の優位性・強み
経営資本 | 価値創出における優位性・強み |
---|---|
製造資本 |
|
知的資本 |
|
人的資本 |
|
社会関係資本 |
|
価値創造にむけた当社ビジネスモデルの優位性・強み
ビジネスモデルにおける優位性・強み |
---|
|
kubellグループの価値創造プロセス
「日本の中小企業の生産性向上」という困難な社会課題解決に挑む当社グループの価値創造プロセスをお示しします。
ミッションに共感する「人」と、中小企業に圧倒的な顧客接点を持つChatworkを基盤とするビジネスプラットフォームを通じて、人手不足に悩む中小企業にIT化・DXの恩恵を広く提供することを可能とし、圧倒的多数の日本の中小企業の生産性向上に貢献することで、当社グループの長期的な企業価値向上を実現します。
ミッション・ビジョン実現にむけた価値創造プロセス
